6月16日(金)

この日が最終日ということで、ホテルをチェックアウトして大学に向かいました。チェックアウトするときに、たまたま同じホテルに泊まっていた昨夜のイタリア人と会ったので二人で一緒に大学へと向かいました。この日は午前中の2つのplenary talkがあるだけでしたので、既に人がやや少なくなっていたようでしたね。少なくともMcMullenはいなくなっていました。彼の予定表を見ると、フランスのIHESにこの日から行くことになっていたようでした。

P. Mattila, What has Menger curvature given to complex and harmonic analysis?

Menger curvatureというのは、任意の距離空間において3つの異なる点が与えられた時に決まるもので、ユークリッド平面の場合はちょうど3点を通る円の中心の逆数を与えるものです(その場合、その値は点の各ペアの距離だけで決まるわけですから、一般の距離空間についても形式的にそれを拡張すればよい、ということになります)。それはMengerが1930年頃に与えたものだそうですが、平面の場合にCauchy核を用いて表現出来ることがMelinikovによってつい最近指摘され、それを用いてCauchy核による積分作用素の研究がどのように進んだか、というわりとsurvey的な講演で、あまり難しい議論に立ち入らずに面白い話題がたくさん述べられていたので、私にとってはMcMullenの講演と並んで最も面白い講演の一つでした。ICM98の時の講演(私は聴いていませんが)と内容的には同じだろうとは思いますが、99年の結果なども述べられていたので最新の結果を織り込んで講演されていたのではないかと思います。

T. Colding, Embedded minimal surfaces and applications to 3-manifold topology,

講演しているのはまだ若い人でしたが、Plenary talksで私が聴いた中では最も興味をひかない内容でした。あまり真面目には聴いていませんが、まあここで説明するようなことはないと思います。

最後に少し大学の写真を紹介しておきましょう。

ちょっとした工場のようですが、これが南デンマーク大学

ポスターにも出ていた卵形のオブジェ。タイルの一つ一つに象形文字のようなものが彫ってあります。

大学の近くに咲いていたケシの一種

大学構内のビールの自販機。Volvicと書いてありますが、中身はOdense Pilsner
(ちなみに、1本11KR。約150円程度)
 

食事の後はEgeskov城への遠足となります。バス2台をチャーターして大学から約30分ほどでお城に着きます。庭園は非常によく整備されていて美しく、庭園以外にも色々な種類の博物館があってなかなか面白かったです。私はたまたまPaulという名前の中国系アメリカ人と一緒に話しながら庭園を歩きました。Kitchen Gardenと呼ばれるところには、様々なフルーツや野菜が育てられており、またそれ以外にも非常に珍しい植物が植えられていて、それだけでも面白かったです。さらに、歴代の城主が所有していたものでしょうか、自動車、オートバイ、自転車、さらには消防車や救急車の博物館まであり、なかなか面白かったですね。特に昔のオートバイなどあまり見る機会がないですから。さらに、Dracula's crimtと呼ばれるちょっと子供だましっぽいところまであり、子供連れでも楽しめるようになっていました。また、“Tree top tour”という名前のちょっと面白い遊具があって、木から木へと吊り橋のようなのが渡してあって、かなりスリルのあるもので、大人でも十分楽しめるものでした。以下に写真をいくつか紹介しておきます。

庭園にあった珍しい植物

Egeskov城。今でも中に城主が住んでいます

Tree Top Tour。高さは建物の4階くらいあります

Motor Bikeの博物館
 

予定より少し早くOdenseの駅に到着。最初は16:04のInterCityLin というのに乗ろうと思っていましたが、各車両ごとに女性のパーサーがいて、内部もビジネスかそれ以上のグレードの席しかなかったようなので、一旦乗ったものの、ひるんで降りてしまいました(^_^;) ということで、1本遅い普通のInterCityでCopenhagenに向かいます。それだとCopenhagenの駅で一度空港行きの列車に乗り換えないといけないのですが、ホームで待っていると発車予定時刻寸前になってホームが変更になったとのアナウンスが。ということで、急遽別のホームに移動して空港に向かいます。空港に到着したのは21:00頃でしたが、問題なくチェックインでき、しかも窓際の席が確保できました。多少疲れていたのもあって、あまり免税店などは覗かずに、食料品を扱う店でパンとチーズとちょっとしたお菓子を買っただけでterminalに向かいました。さすがに同じ飛行機に日本人は見かけませんでした。予定通り22:20頃に離陸。約3時間の飛行の後、現地時間の23:30頃にIcelandに到着します。

空港玄関に出てみると、高級ホテルが出しているバス以外にはバスは見あたらず、どうしたのか?と思ってバスを運行しているFlybusという会社のカウンターに行ってみると、なんとバス運転手のストライキによって、バスはないとのことでした。私の場合は運転免許もないのでレンタカーも借りられず、どうしたものかと思ってもう一度Flybusのカウンターに行ってみると、同じような境遇のカップル(アメリカ人?)がいて、とりあえずタクシーを相乗りして市内に向かうことにしました。玄関先には一台タクシーが待っていたのですが、彼はあと一人乗れると判断して、「もう一人探そう」と言い出して、2,3人に声をかけていたようですが、そうこうしているうちに一人の年輩の男性が一人でそのタクシーに乗りかけたので、彼はその年輩の男性と交渉して、我々3人と相乗りして市内に向かうということになりました。かくしてタクシーでレイキャヴィク市内に向かうことになりました。タクシーは約100km/hで飛ばしていましたが、夜中の12時半頃だというのに周りはまだ薄明るく、木が一本も生えていない異様な光景が延々と続くのをずっと眺めておりました。後で分かったことですが、それらは全部溶岩で、その上にコケや地衣類が生えていて、独特の雰囲気を醸し出していたのでした。

まずその年輩の男性が目指していたホテルに到着した段階で、彼がお金を払って、その後で我々がいくらかタクシー代を出すと言ったのですが、その男性は気前よく受け取らなかったので、結局我々はそこまではタダで来ることができたのでした。(ちなみに、そこまでのタクシー代は10500 ISKでした。) そこからは各自の宿まで歩いても行ける距離でしたが、面倒なのでそのままタクシーで宿まで行き、最初に私が泊まるゲストハウス・オーロラに着きました。タクシー代として多めに1000ISK(アイスランドクローネ, 1ISK=1.35 YEN程度?)渡して彼らと別れました。ということで深夜1時頃に宿に到着したのですが、あらかじめ到着は遅くなると言ってあったので、宿のご主人が待っていてくれて、無事宿に入ることができました。ただ、予定されていた部屋はどういうわけか誰かが中で寝ているようだったので、別のtwinの部屋があてがわれました。

ということで、長い一日でしたが、最後になって色々あったのでしばらく寝付けなかったですね。